食糧争奪・柴田明夫
題名 食糧争奪 日本の食が世界から取り残される日
著者 柴田明夫(丸紅経済研究所所長)
出版 2007年7月13日
発行 日本経済新聞社
今年、最初に手にした1冊は少しハードなものを選びました。
世界の食糧需要の現状と将来予測。そして迫り来る日本の危機とその対策について詳述された本です。
中国やインドなどの多くの人口を抱える途上国が、先進国並みの食生活を送るようになったら…。当然、誰もがその行き着く先を容易に予想することができると思います。それは単に、小麦や米などの穀物を直接消費するだけではなく、アジア諸国の食生活が欧米化することによって、飼料としての穀物の消費増大が予想されます。それは「爆食」という言葉で表現されます。
食料が不足する要因は他にもあります。水不足や過剰栽培による表土流出。それから大豆サビ病などの病害虫の蔓延による収量不足の問題です。
先進国で最も食糧自給率が低い日本はその危機に対応することができるのか。中国などは、アフリカ諸国において、自国民の食糧のみを確保するのを目的とした耕作地を確保するために大規模な土地買収に動いています。
著者は最後に提言しています。
1,国内の農地を徹底的に利用し尽くすこと。誰もが農業に参入することができて、農地を徹底的に利用し尽くすことができるものに耕作を任せるべき。
2,リサイクルの徹底。食品産業における食品残渣(ざんさ)を飼料として再利用するエコフィード(食品残渣の飼料化)を進めるべき。
3,アジアをはじめとする海外との連携の徹底。特に、アジアの農業開発、環境保全・創造、効率的食料流通などに果たす日本の役割は大きい。
しかし、これらをすべて実行したところで劇的に食糧自給率が上がるとは思えません。環境に配慮し、スローなライフスタイルを目指すその先に、「農」が特別なものでなくなり、生産者が豊かな生活を享受することができる社会が生まれてこそ、安全で確実な食糧自給があるのではないでしょうか。
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