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空き家バンク

 「裸の王様」や「パニック」などの著作で知られる芥川賞作家の故開高健氏が育った家が東住吉区北田辺にあります。その家がまもなく取り壊されることになりました。数ヶ月前にも見学させていただく機会がありましたが、今日はその見納めの会がありました。

  昭和初期に建築された大阪市内南部にある典型的な長屋建築です。それも建築当初の状態が維持されている貴重な建物です。管理状態も良好でした。特徴的なのは、1階奥座敷を通らずにトイレやお風呂に行けるように、和室の壁の裏に幅50cmほどの隠し廊下があることです。北田辺周辺の長屋では一般的らしいのですが、阿倍野区の長屋では見かけることがありません。

 この建物に関わる多くの人から、保存活用するために何か知恵を貸してくださいと相談を受けていましたが、着手する間もなくこの日を迎えてしまったことに無力感を感じています。所有者の希望や事情を考慮しないで、保存を訴えてもそれは何の責任も負わない他人のエゴです。私のような不動産業を営んでいると、所有者の裏事情というようなものを数多く見聞きしてきました。近江商人の三方良しのように、所有者も利用する人も、そして町にとっても良い結果を目指さなければならないと考えています(かなり難しい…)。

 先日、日本経済新聞に広島県尾道市の空き家再生についての記事が掲載されていました。特定非営利活動法人尾道空き家再生プロジェクトが尾道市から委託を受けて運営している空き家バンクについての記事です。NPO法人の150人を超える会員の中には大工、左官、建築士などがいて、修理や移住相談などで力を発揮しているそうです。

 興味を持ったのでホームページを確認しました。この空き家バンクは、物件は紹介するが賃貸借契約などの交渉ごとや、その後のトラブルは当事者同士で解決してください、というシステムになっているようです。しかし、これはどうなんでしょう?賃貸借契約については不動産業者を紹介する仕組みもあるようですが、改修や修理が必要な空き家の仲介には、誰かがしっかりとコーディネートをして各方面の調整を図らなければならないケースが多いと思います。移住してくる人と、お隣との橋渡しなども地域住民が間に入ってすることがトラブルの防止やその後の良好な人間関係につながるのではないでしょうか。紙面やホームページではわかりませんでしたが、きっとそのような役回りをしているスタッフもちゃんとそろっているんでしょうね。

 雑誌「大阪人」のおかげで、長屋や町家に住みたい・お店をしたい、という人との出会いがたくさんありました。また、そのような建物を所有しておられる方の間でも少しは認知されたのかな?と思っています。借りたい人がたくさんいて、所有している人も困っている、そんな状態を見過ごすことはできません。NPOとして活動を行う方が信用も得られるような雰囲気がありますが、これはれっきとした不動産業者の仕事の範疇です。ちゃんと適正な利潤をいただきながら、地域貢献できるジャンルと思います。

 私のフィールドにも空き家が増えつつあります。当社に直接依頼をいただいている長屋・町家だけでなく他の不動産業者の埋もれた情報をしっかりと収集し、空き家バンクではありませんが、ここへ来れば地域の情報がすべて手に入るというような状態を目指したいと思います。また、連携する工事会社や様々な職人さんとのネットワークをもっと広げて、入居される方の困りごとにもちゃんと対応できるような仕組みを構築しなければならないと考えています。

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07.長屋・町家」カテゴリの記事

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