『ナチス狩り』ハワード・ブラム を読了
第2次世界大戦のヨーロッパ戦線。イギリスの統治下にあったパレスチナのユダヤ庁は、イギリス軍の傘下で、ナチスドイツと戦うことを望んだ。チャーチルはこれを承認し、西暦70年にエルサレムの神殿がローマ帝国によって破壊され国家を失って以来、ユダヤ民族が初めて軍隊組織を持つことになった。
ユダヤ人で構成されたその正規軍は、ユダヤ旅団と呼ばれ、第2次世界大戦末期、1944年9月に、イギリスが委任統治するパレスチナのユダヤ人入植者約5千人が徴募されてできた軍隊でした。
最初は、ユダヤ民族を大虐殺したナチスドイツと戦い、勝利を収め、ドイツは降伏しました。しかし、ホロコーストの実態を初めて知ったユダヤ旅団のメンバーは、怒りから処刑部隊を結成し、ナチス親衛隊の元高官や強制収容所の看守の居場所を突きとめ、次々と処刑していきます。
その後、あることをきっかけに処刑部隊は方向転換し、ユダヤ難民をヨーロッパからパレスチナに移住させることに専念。この活動が後に、イスラエル建国に大きな役割を果たすこととなりました。
この物語は小説の体をなしていますがノンフィクションです。ユダヤ旅団に属していた3人の兵士の人間ドラマを中心にストーリーが展開していきます。膨大な資料に基づいて編纂された一冊です。巻末に永遠と情報源についての覚書が続きます。5百ページほどの大作ですが3日で読み終わりました。
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